IESE Japan サーチファンドフォーラム(振り返り)

 

田中健太郎さん(MBA Class of 2025)と小林靖さん(MBA Class of 2024)が寄稿しました。原文(英語)は、こちらをご覧ください。

 

MBAの日本人学生6名が今年前半、東京で第1回IESE Japan サーチファンドフォーラムを開催するという挑戦をしました。このフォーラムは大成功を収め、参加者はサーチファンドに関する見識を深め、意見を交換し、大変好評を博しました。田中健太郎さん(MBA Class of 2025)と小林靖さん(MBA Class of 2024)がこのブログ記事で彼らの経験について詳しく語ってくれています。

2024年4月2日、MBAの日本人学生が中心となり、東京で第1回「IESE Japan サーチファンドフォーラム」が開催されました。IESEは2年に1度、国際サーチファンド会議を主催するなど、サーチファンドに積極的に取り組んできました。しかし、今回のイベントは学生主導のユニークな取り組みであったため、そのハイライトをご紹介します。

 


開催に至った動機

日本には約420万社の企業があり、その99%が中小企業です。これらの中小企業は労働人口の約70%を雇用し、GDPの60%に貢献しており、経済における中小企業の重要な役割が浮き彫りになっています。しかし、日本は人口減少に直面し、中小企業における後継者問題も深刻化しており、危機的な状況にあります。日本政府は、2025年までに約245万人の中小企業経営者が70歳を超え、約半数が後継者不在になると予測しています。この危機は、2025年までに650万人の雇用喪失と22兆円のGDP減少をもたらす可能性があります。

私たちは、サーチファンドモデルが、日本の優秀な人材が大企業からこうした中小企業を率いるように移行することを促すエコシステムを構築することで、この危機に対処できると考えています。これは後継者問題を解決し、地域活性化を促進します。

しかし、このモデルは日本ではまだあまり知られておらず、資金を集めようとするサーチャーにとって大きな課題となっています。そのため、このビジネスモデルの認知度を日本に広めることが重要です。IESEはサーチファンドの分野で最先端を走っており、IESEのネットワークを活用してこのモデルに関するイベントを開催し、この取り組みを推進することにしました。

 


舞台裏

イベントは、サーチファンドに強い関心を持つ6人の日本人MBA学生によって企画されました。具体的には、 小林靖、横山紘樹、中畑佳大、小川裕暉、岡部朋也、田中健太郎の6名です。

準備段階では、2つのポイントに重点を置きました。まず、参加者を惹きつけ、価値あるコンテンツを提供するために、ゲストスピーカーを厳選し、確保する必要がありました。最終的には、日本の企業成長を支援するコンサルティング・ファームのリーディング・カンパニーであるIGPI代表取締役CEOの冨山和彦氏や、日本有数のサーチファンド投資家であるJapan Search Fund Accelerator創業者兼CEOの嶋津紀子氏など、著名な方々にご登壇いただくことができました。これらの方々の参加は、私たちのサーチファンドに対する熱意と献身的な姿勢を認めていただいたものと言えます。

もう1つの大きな課題は、会場費を含むイベント費用でした。対面式のイベントであるため、参加者のチケット代だけでは全ての費用を賄うことができず、スポンサーを募りました。簡単なことではありませんでしたが、幸いにも数社のスポンサーが私たちのビジョンに賛同し、支援してくれました。

 

 


イベント当日のハイライト

参加者は120人を超え、イベントは大成功でした。プログラムは、プレゼンテーションとパネルディスカッションの2部構成でした。日本のサーチファンド業界のリーダーである冨山氏や嶋津氏のような講演者は、参加者に貴重な洞察を提供する非常に有益な講演を行いました。また、オンラインで参加したIESEのホセ・マルティン・カビエデス上級講師のプレゼンテーションも高い評価を得ました。彼はスペインでのサーチファンド投資の経験から具体的な事例を紹介し、参加者の理解を大いに深めました。

多くの参加者は、サーチファンドだけでなく、MBA取得にも興味を持ち、IESEを目標校の1つとして考えていました。参加者からは、MBA取得後のキャリアパスとしてのサーチファンドについて理解が深まった、起業家精神に重点を置くIESEへの関心が高まった、などの感想が寄せられました。

 

 

 


イベントを振り返って

大きなトラブルもなく、無事にイベントを終えることができて安堵しています。MBAプログラムの厳しい学業スケジュールとイベント企画の両立は困難でした。日本での開催ということで、バルセロナ時間の朝7時から関係者とのミーティングが始まるなど、時差の問題にも対応しなければなりませんでした。

振り返ってみると、このイベントの開催がうまくいって本当によかったと思います。日本におけるサーチファンドへの理解を促進するという目的を達成できただけでなく、100名を超える参加者を集めたこのような大規模なイベントの企画・運営は、私にとっても多くの学びを与えてくれました。

また、学生だからこそ実現できたイベントであり、MBAならではの経験を積むことができたと思います。登壇者の方々やスポンサーの方々は、MBA学生である私たちの将来を信じて応援してくださったのだと思います。その期待に応えられるよう、これからも精進していきたいと思います。

最後になりましたが、この場をお借りして、ご来賓の皆様、スポンサーの皆様、そして全過程を通じて多大なるご支援を賜りましたIESE東京オフィスの加賀谷さん、西田さんに深く御礼申し上げます。