私たちのルーツからグローバル・リーダーシップへ:IESE がファミリービジネス教育の未来を形作る方法

フアン・アントニオ・アセド と ドミニク・ネルソン(MBA Class of 2026)が寄稿しました。原文(英語)は、こちらをご覧ください。

 

IESE Business School の使命は、常に単一の学問分野を超ええるものでした。学校は、卓越性を追求し、誠実に行動し、公共善に奉仕するリーダーを育成するために存在します。この目的は、グローバルな経営者や起業家を準備するだけでなく、持続可能で人間中心な経済の創造において重要な役割を果たすファミリービジネス(家族経営企業)を支えることにも反映されています。

この広い使命の中で、私たちの起源は今なお重要です。IESE は、スペインの起業家や家族企業がプロフェッショナルに、国際的に、そして長期的な目的をもって発展できるよう支援するという明確な意図をもって創設されました。そのビジョンは、ホセマリア・エスクリバーによって示されたものであり、今も学校のアイデンティティに深く根づいています。

IESE はグローバルな機関へと成長し、数多くの産業分野に影響を与える存在となりましたが、この精神は変わっていません。リーダーシップや継続性、そして遺産を守る責任が、学校の運営や教育理念を導いています。

今年のFamily Business Conference は、まさにその伝統と、IESE におけるファミリービジネス支援への強いコミットメントの表現でした。11月15日、キャンパスには 60 を超える国籍から約 250 名が参加しました。参加者には、Oxford University、London Business School、INSEAD、HEC Paris、ESADE、IE Business School、Columbia Business School、Harvard Business School など、世界トップレベルのビジネススクールの代表者も含まれていました。

当日は 10 名のスピーカーが登壇し、数名の参加者はこの会議のために大西洋を越えてやって来たほどでした。参加者の反応は非常に好意的で、IESE でこのような場を持てたことを誇りに感じたとの声が多く上がりました。

議題は、所有、ガバナンス、リーダーシップといった、ファミリービジネスの生態系を特徴づける多様かつ重要な観点を反映していました。会議は、洞察、明快さ、そして実体験が交錯する、一連の対話として展開されました。

最初に登壇したロブ・ラッヘナウアーは、印象的な凧のたとえを紹介しました。彼は、ビジネスを4本の辺をもつ凧にたとえました。凧のそれぞれの辺は不可欠であり、オーナーとして自らの主体性を失うことなく、すべての辺の緊張を維持することの難しさを語りました。ビジネスの凧を操ることは、スポーツとしての凧を操ることよりもずっと重要だ――と。

次に登壇したニコラス・エートカーは、「起業家はその出口でしか評価されない」という言葉を残しました。彼のセッションでは、レガシーの継承や対立の解決、多くの家族が将来直面するであろう重要な節目について、厳しくも前向きな展望が語られました。

続いて、フェラン・ゴンサレス・フェリウバダロ が、家族、所有、経営の間にあるガバナンスという空間について深く掘り下げました。彼は「失敗を一度もせずに素晴らしいことを成し遂げた会社はない」と述べました。この言葉には、多くの参加者が強い共鳴を覚えました。また、バランススコアカードへの言及は、ある者には試験を思い出させるものだったようです。

午後には、ファミリーオフィス に関するパネルがありました。モデレーターはフアン・ロウレ教授、パネリストにはブルーノ・ボデガ(Click Capitalの外部CIO) と イグナシオ・デル・バジェ(Click Capital パートナー) が参加しました。彼らは、ファミリーオフィスを長期的な戦略エンジンに進化させる方法、投資決定のガバナンス、持続可能で制度化された構造の構築について議論しました。

会議の締めくくりはNext Gen パネルでした。1〜2 年目の MBA 学生たち、ヴァレリア・ジョヴァンナ・ジャケッティ、アブドゥル・ラフマン・モハメド・アシャラフ、デヴァンシュ・シャー、シドニー・オントン・ジュニアが参加しました。彼らは、それぞれの家族ビジネスに関するストーリー、継承、そして自身の抱負を率直に語りました。その誠実さは部屋を真の学びの場に変え、理論を実際の現実に根ざした学びへと落とし込みました。

会議の内容は非常に充実していましたが、執筆者(MBA在校生/クラブリーダー)たちによれば、この大会は大きな努力の一歩にすぎず、より広範な試みの始まりにすぎない、とのことです。彼らは IESE を 「ファミリービジネス教育のグローバルな基準 」 として位置づけるために、全力を注いでいます。

彼らを取り巻くのは、他にも優れたビジネススクールですが、IESE が提供するものは、本当に特別なものだ――と自信を持っています。

そのユニークな例として挙げられているのが、MBA 選択科目 Landing in Your Family Business です。これは次世代のリーダーを準備させるという学校の真摯な取り組みを示すもので、国際的な環境においても非常に珍しい教育プログラムです。

執筆者たちは、今後の目標をはっきりと述べています。IESE が世界的に家族企業教育におけるリーダーとして認識されること。そして、意味ある協力関係、互いの学び、そして長期的な継続性を通じて、トップビジネススクール同士をつなぐ、グローバルなエコシステムを構築することを目指しています。昨年は、Global Families in Business conference(Harvard主催)、パリでの HEC のトレック、London Business Schoolでのイベントなどで、このダイナミックな交流を実際に経験したと言います。そして今回、自分たちの会議を持つことで、IESE はこのグローバルなエンゲージメントの循環の出発点としての地位を確立した――と。

そして彼らは断言します。任期が終わる頃には、IESE はすでにそうした学校であると広く認識されているだろう――ファミリービジネスのリーダーたちが、自分たちの責任をプロフェッショナルに、ビジョンと目的をもって担うために必要な準備を提供できる学校として。基盤はすでにそこにある。彼らの使命は、それを世界に広めることだ、と。