「コロナ世代」新入生による覆面座談会(新型コロナウィルスとの向き合い方)

IESE MBA Class of 2022として9月に入学したばかりの在校生3名による覆面座談会が、2020年9月11日に開催されました。

「コロナ世代」のIESE MBA生が、新型コロナウィルスの影響についてどんなことを感じながらMBAの旅に乗り出しているのか等をざっくばらんに議論した本座談会の模様について、以下をご覧ください。

 


参加在校生プロフィール

A: 女性。私費退職でMBA留学。大学ではスペイン語を専攻し、スペインに留学経験あり(1年)。MBA前は総合電機メーカーにて、スペイン語とは一切無縁の経理業務に6年従事。入社年次から世間を騒がせる刺激的なトピックに恵まれ、経理ウーマンとしてはなかなか濃い日々を過ごしたと自負している一方で、未だに独身なのは仕事が忙しかったせいだと自分に言い聞かせている。人生楽して生きてきたと思っているため「大変だ」と言われたり、「難しそうだ」と感じると自らを虎穴に落としてしまう。目下、難しいゴルフにfall in love。マンガで現実逃避して1日を終える時が至福なのは内緒の話。

 

B: 男性。社費派遣という名の「人参」を追いかけ気が付けば社会人9年目。日系大企業にありがちなジョブローテーションによる所謂典型的ジェネラリスト(*何でも出来るとは言っていない)。海外留学・駐在経験があり、上司も外国人だったものの、英語は必ずしも得意とは限らないパターン (*その代わり無駄にマイナー言語を習得からの忘却中)。社費生の立場を最大限活かすべく、スペイン語(4ヵ国語目)やアントレにも興味を持ち始めた1児の新米パパ。メッキが剥げつつあるハッタリ根性英語とコロナで緩んだ三十路の我儘バディが最近の悩み。

 

C: 男性。会計コンサルティング業界で約3.5年勤務後、私費退職でMBA留学。MBA前は、会計・税務分野におけるアドバイザリー等に従事。米国のビジネススクールを卒業した父の影響で、学生時代からMBAを強く意識。大学卒業したての入社1年目から、細々と試験対策を始めるも、社会人の上等文句である飲み会の嵐に加えて、大学時代にろくに勉強してこなかったことが仇となり、思ったように結果が伴わず大苦戦。MBAにおける様々な授業やチームワークを通じて、根性論で物事を解決しようとする悪い癖を直そうと、毎日奮闘中。趣味は週末のドライブで、平日の空き時間は、マニアックなドライブルートを完成させるべく、Google Mapをひたすら眺めることに時間を費やす。

 


Why MBA

A: キャリアチェンジが目的でした。経理という職掌から転換することが最優先で、それを叶えつつ海外に関わる仕事をしたかったんです。大学の専攻が欧米第ニ課程(スペイン語)で自分の職務経験からかけ離れていたので、通常の転職で自分の職業人としての価値を落とさずにこういったキャリアチェンジを実現するのは難しいと思いました。海外に住むことを自分のタイミングで選べる最後の機会になると思ったというのと併せて、これがMBAを志した理由ですね。

 

B: グローバルに戦えるハードスキルとソフトスキルを同時に身につけられる最短・最良の手段がMBAだと思いました。また、弊社のMBA派遣は指名制ではなく公募制なのですが、ここで自ら手を挙げることにより、キャリア形成において、一層個人として主導権を握ることができる機会になるとも思いました。グローバルな機会という意味で一般的にもう1つの選択肢になり得る海外駐在について、再度の駐在をロンドンにてという可能性も話としてはあったのですが、今後のキャリアでこれまで業務経験のなかったファイナンス方面を目指したいと思っていた為、駐在ではなくMBAを選びました。

 

C: 理由は3つです。1つ目は、マネジメントポジションに近づくにあたり今の自分に足りないスキルがあるのが明確で、部署異動などに振り回されながら時間をかけてそれらを獲得していくのではなく、一気にそして包括的に獲得できるのがMBAだと思いました。2つ目は、ネットワーキングです。いずれ自分のファミリービジネスに戻るにあたり、さほど大きくないその会社の看板が事実上ない中で戦っていく上で重要だと考えているのですが、その際に役立つのがMBAを通じて築かれる世界中とのネットワークだと思いました。順番としては、3つ目ですが、内心一番重きを置いていたかもしれないのはこれかもしれなくて、MBA卒はやはりカッコいいのではないかという、純粋なMBAへの憧れですね。父親が海外MBA卒であったことがきっかけでしたが、自分で調査を進めていく上で、こういう人に自分もなりたいと思えるような方々とMBA界隈でたくさん出会うことができ、MBAを目指すギアが加速しました。

 


Why IESE

A: スペインに留学した過去の経験から、今度は英語圏に住みたいと思って最初は米国校を見ており、米国複数校を数年前にキャンパスビジットしたところ、座って講義を聞いてよく内容が消化できないまま終わってしまいました。一方で、日本人MBAホルダー内での差別化を考えた時に、スペイン語の向上に取り組める環境の方が良いのではないかと思い、スペインのMBAに目を向けるようになりました。スペインの主な3校を比較する中で、卒業後に自分のやりたい仕事が完全に固まっているわけではないことから、長めな期間のMBAプログラムでじっくりそれについて考えたいと思いました。バルセロナにはキャンパスビジットすることができました。米国でのキャンパスビジットの経験で感じたことに照らしても、他人と喋りながらアイデアを膨らませていくことが私は好きで得意なのですが、ケースメソッド重視で大変ながら学生の参加度が高いIESEの授業形式が一層魅力的だと、キャンパスビジットを通じて改めて思いました。

 

B: 私は社費なので、就職活動をする必要がありません。ですので、IESEのインテンシブなカリキュラムを通じて鍛えられる環境が魅力的だと感じましたし、ケースメソッドはこれまでの業務経験の棚卸、抽象化、汎用化をその順に全て叶えてくれる教授法だとも感じていました。過去の駐在経験等を踏まえて、寒いところ、物価が高いところ、ご飯が美味しくないところは住む場所として避けたいという思いもあり、その対極だったバルセロナには強く惹かれました。

 

C: 米国校との比較で欧州校の特徴は多様性だと思うのですが、まずそれが魅力的でした。自分の成長過程で何か大きな気付きを得ていたのは、全く異なるバックグラウンドの人からインプットを受けた時だったので、その意味で多様性が私にとって重要でした。私のファミリービジネスに欧州の顧客が多かったことも小さくない要素でしたね。そして、数ある欧州校の中でもプログラムの期間はまちまちですが、じっくり長く勉強したかったので、長めのプログラムを志向していました。その中で、IESEは、学内での経験と学外での経験のうち、学内での経験に重きを置いている側の学校だと思うのですが、私は学校の中で密なチームワークを通じて絆を深める中でのキャンパスライフが性に合っていると感じていました。また、スペイン語は、英語以外の欧州の言語の中で、最も汎用性があると思いました。気候と食事の両面で魅力度が高いのもバルセロナならではで、その点も重視しました。

 


新型コロナウィルスの影響を受けて、IESE受験・入学にあたって考えたこと

編注:3名とも2nd roundでの受験でした。IESEの新型コロナウィルス対応関連の概要は、こちらをご覧ください。

 

A: 実現可能性はともかく入学時期の翌年への延期の可能性などが各校合格者の間で囁かれる中で、私はそれについては全く考えませんでした。私の場合、MBA受験前から、合格しなくても退職するつもり、と会社には言ってありましたし、転職やプライベートの事情を考えると、やはり早くMBA留学する方がいいと考えました。最悪のケースとして、2年間完全オンライン授業もあり得るのかなと考えたりもしましたが、もちろんそれは嫌だけど、でもそれならそれで仕方ないとも考えました。

 

B: MBA受験中、2月上旬にバルセロナで開催されたアセスメントデイに参加しました。まだスペインでの感染状況自体が顕著な時期ではなかったものの、現地開催されるアセスメントデイのために社費派遣生が渡航することについて、会社内部では一部慎重な声もありました(編注:2月下旬にシンガポールで開催予定だったアセスメントデイは、シンガポール政府の方針と世界的な感染状況の広がりを総合的に鑑み、不催行に至りました。また、2021年入学のためのアセスメントデイは当面オンライン実施の予定です)。

IESE合格後に合格通知のあった米国校との間で、進学先を少し迷いましたが、米国でもスペインにやや遅れる形で感染者数が3-4月に急増したりして、結果的に入学先選択にあたり、新型コロナウィルスの影響という基準は殆ど関係せず、元々の志望度に則って、IESE入学を決めました。Aさんが指摘した入学時期の翌年への延期の可能性については、同じく考えませんでした。社費派遣確定後、一年以内に会社から暫くいなくなる人という前提は少なからず業務に影響していたため、その期間をいたずらに延ばしたくありませんでした。またその状況で年齢を1つ重ねることもデメリットだと考えました。

 

C: まず、受験にあたっては、既に出願済でしたので、特に新型コロナウィルスの影響を考えませんでした。入学にあたっては、私の場合は、入学時期の翌年への延期を考えましたね。スペインの状況が当時は特に大変だったこともあり、周囲からもこの状況でスペインに行くのかという声を色々聞いていました。今年入学するより翌年の方がキャンパスで過ごせる時間が多くなるのではないかと予想し、その方が投資に見合うのではないかと考えました。しかし、結果的には、合格後のIESEの学校としての対応が素晴らしかったので、その考えは放棄しました。

 


合格後、新型コロナウィルスへのIESEの対応とそれについて感じたこと

A: キャンパスで授業を受けるためには抗体検査もしくはPCR検査の結果が必要など、IESEは厳格なプロトコル(編注:詳細はこちら)を定めています。自分が新型コロナウィルスに感染しないこととウィルスを撒き散らさないという両面で、これは大きな安心材料でした。誰も先が読めない中、考えられる中で入学以降の最適なフォーマットをIESEは考え出してくれていると思います。簡単に言うと9月のみオンライン、10月以降はハイブリッド(編注:教室で授業を受けることが何かしらの事情で困難あるいは避けたい学生は、オンラインで同授業を受講可能)です。スペイン渡航にあたって必要なビザの承認が比較的早期に実現した日本人であっても7月後半以降だったことを踏まえると、9月に学生全員がバルセロナにいることが現実的ではない一方、10月ならば大多数の人がおそらくバルセロナにいることができ、ソーシャルディスタンスを確保しつつのクラスサイズに変更することも含めて、フェアだと思いました。

 

B: 社費派遣元の人事担当宛に、オンラインミーティングで、学校の状況や今後の対処方針について、IESE東京オフィスとして説明してくれたことが大変有り難かったです。日本人職員がいる心強さを感じましたし、私が説明する以上に人事にとっても納得感があったことと思います。また、日本はビザ発給が比較的円滑だったのであまり関係ないですが、各国の合格者のビザ関連の状況を細かく複数回ヒアリングし、各国大使館に早期のビザ発給を促していた入学審査チームの動きも印象的でした。更に、合格早々、合格者はプロフィール属性の近い日本人在校生をメンターとしてアサインされていたのですが、私のメンターだった当時の2年生が、新型コロナウィルス対応等について親身に相談に乗ってくれ、大変感謝しています。

 

C: 合格後の4月から6月にかけて、合格者にとって先が読めない中で、世界規模で入学審査チームが定期的にオンラインミーティングを合格者に対して開催してくれました。その中で、デポジットの支払期限や入学月ほか数え切れないほどの話題について、時に選択肢を合格者に示して方針決定前に合格者の要望や意見も汲み取ることもしながら、学校としての最終的な対処方針が固まることになりました。この過程を踏んでくれたことがすごく大事だったと思います。そして、入学審査チームの一員としてIESE東京オフィスに日本語を話す職員がいたことで、自分の懸念や検討内容を日本語で相談できたのも、この有事には大変大きかったです。

 


今後、新型コロナウィルスの影響を踏まえての個人としての対処方針

A: 仮に開催されることがあっても、大人数の飲み会は避けたいです。全員が抗体検査やPCR検査を受けた直後という状況があれば大丈夫かもしれませんが。誰かしら自分に近しい人が体調が優れない様子だったり自分の体調が悪くなったら、キャンパスに行かないで、ハイブリッドの良さを活かしてオンラインで授業を受けるようにするのは、マナーだと考えています。オンラインに完全に退避するような事態、例えば再度のロックダウン等が起きた時を最悪シナリオとして想定して、あえて寮に住んでいます。寮の受付に人がいると何かと安心ですし、外出できなくても寮の中で話をできる人がいて孤独にならないというメリットがあります。

キャリアに関しては、インターンを海外でやってみたい、可能なら発展途上国でやってみたい、という思いがありますが、自分の健康を優先したいです。プライベートへ与える影響も考慮して、卒業後の就職は日本を中心に考えていますが、その中で海外と多く関われる仕事に就きたいです。そういう意味では、フルタイムの就職計画について、新型コロナウィルスが影響しているといった感じはないですね。聞く限り、少なくとも今のところは、日本のMBA採用市場への新型コロナウィルスへの影響はさほどネガティブなものではないですし。

 

B: 実は、まさに明日家族がバルセロナに来ます。家族が最優先で大事なので、Aさんと同じように大人数の集まりには極力出ず、できるだけ慎重に対応しようと思います。再度のロックダウン等最悪の事態が起きた際にも即座に対応できるよう、家族の面倒を見てくれる病院や緊急帰国の飛行機など、予め調査をしっかりしておきたいと思います。

 

C: Aさんと同じように「かからない・うつさない」を心がけておきたいです。今年の3月頃には、部分的にであってもオンラインなんてあり得ないと思っていましたが、今はそこまで嫌気するものではないと心持ちが少し変わってきて、万一オンラインの世界に避難するような事態に見舞われても柔軟に対応しようと思っています。オンラインでの授業が続くことによって、次にキャンパスで同級生などに会えることの喜びが増す、というのもありますしね。新型コロナウィルスの有無に関わらず、良くも悪くも、日本が最も現実的な最初に考慮するキャリア上の選択肢だと思っていますので、Aさんの言うように、就職計画への悪影響は今のところあまり見当たらないですね。

 

 


IESEについて最もワクワクしていること

A: チームとクラスでたくさん議論する機会が楽しみです。ここまでオンラインでありながら、Business Spanish Programでのモノローグやディスカッション、9月に入ってからのコミュニケーションに関する授業のピッチを含め、こんなに喋り倒すということが生まれて初めてです。大変だけどとても楽しいので、10月以降、本格的にケースメソッド中心の授業が始まると、もっと楽しくなるのではないかと思っています。

 

B: 新しいコミュニティに参加することにワクワクしています。自分のチーム、ESADEとの合同会、スペイン語のクラス、日本人コミュニティ等、これほど多くのコミュニティをこれほど短期間に同時に味わうことは、普通の社会人ではなかなか叶いません。役職などに囚われず、自分の価値をどう発揮していくかを試行錯誤するのも刺激的です。ケースメソッド中心の授業で、全く異なるバックグラウンドから来ている他の学生の発言を聞けるのも楽しみです。また、アントレにも興味があるので、来夏のSummer Entrepreneurship Experienceにも是非挑戦したいです。ゼロからイチを生み出す仕事をこれまでなかなかできなかったので、新鮮な経験になると思います。

 

C: ここまでの気付きとして、1つのバーチャル空間に例えば7人もいるのに1人あたりの発言量がとても多いと思うんですよね。コミュニケーションの授業であれば、自分のスピーチをするだけではなく、他の人のスピーチに対してもコメントを積極的にしなくてはならないです。それがこの2年間、普遍化していくんでしょうね。こんな風に、今まで自分にできなかったことができるようになっていく過程が楽しみです。カフェテリアで話したり、コーヒーを飲みに行ったり、そんな些細な日常を通じて世界中の友達が増えていくであろうことにも興奮します。

 


キャンパスライフ以外について、MBA留学中最もワクワクしていること

A: 町中を歩いているとスペイン語が聞けたり話せることが、私にとっては天国のような環境です。人生のどこかで置き去りにしてきたものを取り戻せるような感覚に興奮しますね。過去の留学期に出会った、サンティアゴ・デ・コンポステラとかサラマンカにいる友人にMBA期間中に会いに行きたいです、それ以外に、スペイン国内で、ガイドブックに掲載されていないけれどもとても素敵な場所でそれがクラスメイトの故郷だったりということがきっとあると思うのですが、そういった場所にも足を運びたいです。

 

B: 新しい言語を学ぶと見えてくる世界があるのを経験則でわかっているので、スペイン語を通じて学校以外の他のコミュニティにも参加して枠を広げ、より人生を豊かなものにしたいです。また、仕事とMBA受験のために十分に取れていなかった家族との時間をしっかり確保したいですね。社費ですので就職活動がない立場を活かして、積極的に家族で旅行や新しい経験をしたいです。そして、来年どういう状況になっているかわかりませんが、例年2月にバルセロナで開催されているMobile World Congressがあるのも楽しみで、是非何かしらの形で参画したいです。

 

C: 卒業する時までにバルセロナを第ニのホームと思えるようにしたいです。先週末、妻と、ピレネー山脈方面の、まるでハイジが出てきそうな雰囲気のスペインの田舎に行ってきました。その後、バルセロナに帰ってきたら、すごく落ち着いた気持ちになったんですよね。これから2年間で一層その気持ちが高まることになるはずです。あとは、感染リスクに注意を払いながら、スペインならではの、バルをはしごする経験も早くしたいですね。

 

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