卒業生の活躍:カロリーナ・ガルシア・ゴメス (MBA Class of 2004)

 

 

2004年に IESE MBAを卒業し、IKEA の日本拠点での勤務などを経験後、現在は同社のポーランド拠点でカントリーマネージャーとして活躍するスペイン人、カロリーナ・ガルシア・ゴメスが、卒業後の軌跡とIESEが人生に与えた影響について語りました。主なポイントは以下の通りです。原文はこちらをご覧ください。

 


あなた自身とここに至るまでの軌跡を教えてください。

私はカロリーナ・ガルシア・ゴメスです、友人は私をキャロルと呼んでいます。人生が始まって以来、色々と動き回ってきました。それは内側にある何かであり、私が今日いる場所に存在するのを助けてくれました。私の両親はスペイン人ですが、私の両親が働いていたベネズエラで生まれました。私の人生の大部分は、私が産業工学を勉強していたスペインのビルバオで過ごしました。そこには、私の家族の殆どが住んでいます。

大学卒業後、コンサルタントとエンジニアリングの会社であるIDOMで2年間働き始めました。この会社の仲間がIESEのことを教えてくれ、その後2002年にMBAを取得することを支援してくれました。IESE卒業後、私はビルバオに戻り、そこで物流の中小企業で働き始めました。その瞬間、私はIKEAがビルバオに進出したことを知りました。私をIKEAに引き寄せたのは好奇心と物事の新しい見方だ、と、いつも言っています。自身がIKEAの大ファンであることは言うまでもありません。ビルバオからマドリードまで車で買い物をすることさえしています。ですので、採用可能性があることを知った時には応募するのは当然でした。私は多国籍企業とその中で働くことについて興味がありました。私は店のセールスマネージャーのポジションに応募し、自分に言い聞かせました、「何が起こるか見てみてみようじゃないか!」と。

私にとって、IKEAは多くの点で異なっていました。私は小売、セールスの分野で全く経験がありませんでした。重責を担うリーダーとしての経験もありませんでした。IKEAは私の経歴について知っていました、そしてもちろん、IESEでのMBA取得のおかげで、私が可能性を秘めた誰かであるはずだとIKEAに気付かせることができました。私は営業担当でキャリアを始めたのですが、その後好奇心が再び舞い降り、一層の国際的な経験を追求する時であると思いました。それで私はその経験を積める可能性を要望し、そして私は営業に関連したプロジェクトマネージャとして、スウェーデンに移動し、グローバル組織の中で働く機会を得ました。当初の1年計画から、スウェーデンでの2年間の冬の経験へと変わりました(晴れに恵まれるスペインから離れました)。そのおかげで、オペレーションを基盤としてサイクルが短期的な店舗から、より戦略的で長期的なグローバスな組織という、全く異なる形で会社を理解することができました。本社のネットワークの一部になれたことも素晴らしかったです。

それからスペインのオフィスは私に、販売および収益性を管理する店舗のマネージャーとして400人をリードすべく、マラガに2年間行くように要請しました。それはIKEAで私が就いた本当に最初の大きなリーダーとしてのポジションでした。次の機会はバレンシアに新しい店舗を開くことでした。どの店舗のマネージャーにとっても、新しい店を開くのは夢です。チームをゼロから作り、組織を構築し、店舗の日常業務、構造を構築することになるからです。私はこの店舗の出店を導きました。これはキャリアの中でも最も重要なポイントの1つです 。新しい店を開く責任があったからだけでなく、その瞬間スペインでは金融危機であり、その地域の失業率は30%だったからです。 私たちは400のポジションを市場に提供し、結果、10万の申込を受けました。非常に多くの人々のための仕事の必要性を見ることは会社にとって目を見張るものでした。私が気づいたのは、会社を成功させるだけでなく、家族のために400人に仕事を提供するために、この立場で担うべき責任は何なのか、ということでした。我々のマインドセットは、彼らが成功するのを手助けすべきということでした。それを正しいやり方でやらなければなりませんでした。これがキャリアにおける責任という点で重要なポイントだったと思います。

そして1年間バレンシアの店舗を経営しました。内部評価の後、ハンガリー、チェコ共和国、スロバキアの世話をしている副社長兼副リテールマネージャーとしてチェコ共和国に行くことが提示されました。ここでの主な変化は文化と言語に精通している自身の国から移り、他の国で主導することを学ぶことでした。最初は、同じヨーロッパだし非常に似ていると思いました、しかし主導するにあたり重要なたくさんの文化の違いがありました。どのように適応するか、どのようにその国の文化や歴史を知るか等です。課題は、チームの強みを活かすことと、自分が出せる違いにより貢献することとの間の正しいバランスを見つけることでした。 3カ国と同時に、異なる言語、通貨、および法律を使って作業することは非常に興味深いことでした。小さい部分もありながらも大きな考慮すべき事項をまとめて管理する必要がありました。

それから私の夢はIKEAのカントリーマネージャーになることでした。その瞬間には機会がなかったのですが、本当に自分自身を成長させ続けたいと思っていました。その後、新しい文化と大陸での別の経験のために、アジアでの役割が提供されました。私は全く違う、そして興味深い市場で、副リテールマネージャーとして日本に行きました。日本においてIKEAは欧州でほど有名ではありませんでした。私達の市場占有率は非常に低かったですが巨大な可能性を感じました。まだ小規模で、ブランドの認知度のような多くの課題を抱えている市場にどのように参入するのでしょうか。東京は人々が車を所有している都市ではありませんでした。

日本で1年を過ごした後、ポーランドで機会が訪れ、私はポーランドでIKEAのCEO /カントリーマネージャーとして働き始めました。私がこれまでに経験したことのすべてから学んだことを総動員していますが、経済のスピード、国、そしてチームのエネルギーのおかげで、それは素晴らしいものです。私たちが今抱えている主な課題は、組織、リーダーシップなどの点でIKEAが変革期を迎えているということです。今後数年間は非常に興味深いものになるでしょう。

 

 


これまでのキャリア上の決定を振り返って最も重要な教訓は何でしょうか。

その過程で非常に重要だったことは、好奇心です。私は現状維持をあまり好みませんでした。より上手く実践するために様々なことを試す好奇心を持つことです。純粋な技術的問題や物流に取り組むプロジェクトリーダーであることは、私にそれほど多くのエネルギーを与えてくれないため、自分に最善ではないことに気付きました。私は本当に人々と仕事をするのが好きでした。私が気づいたもう一つの小さいながら重要な詳細事項は、私が美しいものを扱いながら働くことを楽しんだということでした。家具はその一例です 。 これは私にエネルギーを与えました。私は工場で働くことができましたが、少なくともそれは私が実際に好きな製品に関わるものです。好奇心は、自分が本当に好きなことや刺激を与えてくれるものを決定するのに役立ちます。

私が学んだもう一つの重要なことは、レジリエンスがあり謙虚であることです。全てが正しい方向に進むわけではありません。時には、自分自身を成長させるために学ばなければならないこともあります。

他のリーダーのキャリアを見たとき、当然結果を出す必要があると思うのですが、他方、それを正しく実行しなければなりません。ビジネスを発展させ、同時に周りの人々を成長させなければなりません 。自らが帰属する共同体の世話をするためにです。

 


ビジネス界における女性のトップリーダーとして直面した最良のことと最もチャレンジングだったことは何でしょうか。

IKEAは多様性を活かす会社です。 多くの国で、CEOの多くは女性です。 女性は仕事でも家でも完璧であることが期待されていると思います。家で完璧な家族を持つ必要があり、これは女性に大きな圧力となります。 同時に、女性はあまりにも多くのリスクを冒したくはありません。 まず、私たちは完璧でなければなりません。それこそが、女性が先に進むことができる唯一の時です。

たとえば、私が行ったことのある国のいくつかでは、オープンな管理職ポジションがありましたが、家族と仕事のバランスが取れない、または十分でない、または十分に完璧ではないという理由で、女性の応募はありませんでした。 女性がリスクを冒すことができるようになるには、自信と支援が必要だと思います。 しかし、女性のためのワークライフバランスだけに取り組むのではありません。異なる社会的圧力を受けている男性のためにもそれをする必要があります。

 


あなたのリーダーシップスタイルは時間の経過とともに変化しましたか。その点、IESE MBAは有意義なものでしたか。

MBAは私のキャリアを大きく変えました。 私はエンジニアでしたから、 キャリアはテクニカルリーダーまたはプロジェクトリーダーになると思いました。 IESE MBAが教えてくれたのは、リーダーシップの部分、様々な状況を管理する方法、様々な人々と仕事をする方法についてでした。 IESEは非常に価値重視のビジネススクールです。つまり、ビジネスのやり方を学ぶだけでなく、他人の生活をより良くし、より良い社会を築くために我々はここにいるのです。 IESEは、私がリーダーシップやマネジメントの分野でキャリアをもっと伸ばしたいという気持ちを引き出すきっかけになりました。それが最初のインプットでした。

相互依存型のリーダーシップであるIKEAでのキャリアを開始した際、以前の、一層技術的な環境で主導していた方法を変えなければなりませんでした。 最初は難しい時間を過ごしていました。なぜなら周囲にとっては私が決断を下していなかったということかもしれませんが、私にとっては私のみで決断を下すのではなく他の全員と決断を下したいと思っていました。 未知の国にいること自体も、私が母国で知っていたこととは異なりました。

IKEAでは、全てがパフォーマンスのリーダーシップであり、デジタルのマインドセット、革新性、循環性、そして異なる方法での取り組みでした。 以前持っていた強みのいくつかはもう価値がないかもしれないので、我々は進化し続ける必要があります。

 

 


どのIKEA製品が最もあなたらしいものですか。

製品ラインやエリアであれば、キッチンでしょう。それはお金と品質の価値です。

製品であれば、それはじょうろです。 シンプルな製品ですが、IKEAが何を大切にしているかを表しています。 それ(1)良いデザイン、(2)機能、(3)低価格、(4)持続可能性、(5)品質、を備える民主的なデザインです。 じょうろは花を育てるために庭に水をまくことができる道具なので、私はこれが好きです。 これは基本的なようですが、少しの動機を以て水をやるとき、花は育ちます。 孤独な花になるだけでなく、美しい庭園にも貢献します。

 


仕事以外でどのようなことに忙しくされていますか。

私は子供がいないので簡単に動き回ることができます。一方では人生を少しでも簡単に決めることができますが、他方では新しい国に移るたびに最初からやり直す困難にぶつかります。 それらの国の間で、同じ共同体と支援があるわけではありません。 私の家族はスペイン、私の友人、そして私のパートナーはプラハにいます。 仕事以外でも、つながりを保つべく重要な人々に会うためには、たくさん旅しなければなりません。 私はオンラインでの連絡を取り合いながら事前に自らの旅行計画を立てることを学びました。 これらの旅行以外にも、山、野外活動など、新しい場所を見つけるのが好きです。

 


キャリアを始めた時点の自分にどのようなアドバイスを送りますか。

完璧について語った時とは反対に、私のアドバイスは「あまり考えすぎないでください」ということになります。 時に、何かが起こる前に、我々は結果について非常に多くのことを考えすぎています。 MBAに挑戦するべきか。 結婚するのか、それとも子供がいるのかもわかりません。 ですから、あまり考えすぎず、自分を成長させるためのステップについて考え、将来、個人として本当に欲しいものを決定するためのエネルギーと好奇心を持つことがより重要です。 そして、何でも可能だと信じましょう。 時にはコンフォートゾーンから抜け出す必要があります 。 それは簡単ではありません 。しかし、家族や友人の支援があれば何でも実現することが可能です。