原文(英語)は、こちらをご覧ください。
本記事では、IESEのArtificial Intelligence & Future of Management Initiative(AI Initiative)のエグゼクティブ・ディレクターであるシリ・ウー氏に、彼女の役割やAI Initiativeの活動、そして学生がどのように参加できるかについてお話を伺いました。
自分自身について、そしてIESEの人工知能と経営の未来イニシアティブ(AI Initiative)における役割
私はカリフォルニア州サンタクルーズで育ちました。父はカリフォルニア大学の教授で、私は文字通り大学キャンパスで育ったようなものです。知識や学びは常に私の情熱の源でした。投資銀行、コンサルティング、そして企業で長年働いた後、再び知識と学びにあふれる大学キャンパスに戻ることができ、とても嬉しく思っています。IESEでAI Initiativeを率いることは、まさに「二つの世界の最良の部分を組み合わせる」ような体験です。私は企業と学術界をつなぎ、知識を実践的でインパクトのあるものにすることに喜びを感じています。
AI InitiativeはIESEの使命とビジョンに直接貢献しており、その目的は3つです。
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人工知能とビジネスに関する世界最先端の研究
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経営者がAI変革をリードするために必要な知識とツールを備える、最高水準の教育プログラム・教材・教授陣
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学者、経営者、政策立案者、一般社会を巻き込み、責任ある人間中心の革新によって社会全体の福祉を高める議論の促進
AI Initiativeはどのように始まったのか、また、IESEではどのように人工知能をカリキュラムに組み込んでいるのか
2018年、人工知能が完全に変革をもたらす技術になることを私たちは認識しました。その時点で具体的にどのような形を取るかは分かりませんでしたが、「何かを始めなければならない」と確信していました。そこで2019年に初めて「AI for Executives」という旗艦プログラムを立ち上げました。これは5日間の集中講座で、経営者やマネージャーが (a) 自社のビジネスやビジネスモデルに人工知能が与える影響を理解し、(b) 人工知能変革をリードするためのフレームワークやツールを学ぶことを目的としています。このプログラムは常にAIの最新動向に合わせて改訂され、現在では第13回を迎え、今年度はマドリード、バルセロナ、ミュンヘン、ニューヨークで計5回開催予定です。その後、2020年にAI Initiativeを正式に設立しました。
また、IESEはMBA、EMBA、GEMBAなどの学位プログラムに人工知能を組み込んでいます。更に、Global CEO Programや、ソニー、ヘンケルといった大手企業とのカスタムプログラムでも人工知能教育を導入しています。
AI Initiativeでのこれまでの経験の中で特に印象に残っていること
私の仕事で一番楽しいのは、知識を共有できる場を作り、人やプロジェクトをつなぎ、協働が根付く瞬間を生み出すことです。そのために企業やマネージャーと対話し課題を理解する一方で、教授陣の研究テーマを常にフォローしています。そして、その知見を広く共有したり、研究をさらに発展させるために適切な企業やマネージャーとつなげたりしています。
私の典型的な一日は以下の内容を含みます。
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企業とプロジェクトで協働(研究プロジェクト、定性調査、ケーススタディ、人工知能関連イベントなど)
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サミット、研究会議、公開イベントを企画・運営し、(1) 実践的洞察の共有、(2) 知識交換の促進、(3) IESEの人工知能分野でのリーダーシップ発信を実現
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パネルやメディア対応、イベント登壇を通じて倫理的で人間中心的なAI推進を啓発
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他の学術機関やアライアンスとの協力強化
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教授陣の研究や出版、人工知能プログラムを支援し、その知見をより広く届ける工夫
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人工知能に関心を持つ学生のメンタリング(非公式・公式にAI Fellowsを通じて)
AI Initiativeは今後5〜10年でどのように発展していくか
今後3年間で、IESEを「人工知能を巧みに、かつ責任を持って活用する方法を学ぶ世界トップのビジネススクール」として確立したいと考えています。
そのために、次の3つに注力しています。
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方法論の開発:独自の変革的学習モデルを構築
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能力構築:教員やスタッフの研修
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学習体験の革新
MBA学生はどのように参加できるか
学生が参加できる方法はいくつもあります。例えば昨年は、MBA Healthcare Clubと共同でHealthcare Dayにて人工知能に関するパネルを共催しました。
特に重要なのはAI Fellows制度です。毎年、MiM、MBA、EMBA、GEMBA、PhDプログラムの学生からFellowを選抜し、彼らの関心に合わせて人工知能関連の研究やプロジェクトに参加してもらいます。これらはAI Initiativeと協力する企業が直面している課題をテーマにしています。MBA学生はAI Fellowに応募でき、場合によっては独立研究プロジェクトやインターンシップとして取り組むことも可能です。
人工知能に関心を持つ学生や受験生への助言
「使ってみること」です!人工知能を学び、その進化を追い、日常生活で実際に活用してください。人工知能の世界はものすごいスピードで変化しているので、常に学び続けることが欠かせません。




