学長フランツ・ホイカンプへのインタビュー前編(Poets and Quants)

 

Poets&Quantsの創業者であるジョン・A・バーンがフランツ・ホイカンプ学長にインタビューしたところ、主な内容(前編)は以下の通りです。原文(英語)はこちらをご参照ください。後編はこちらをご参照ください。

 

ジョン・A・バーン(以下B):現在様々なことが同時に起きていますね。マドリッドで新しい建物を建設し、ドイツで新しいエグゼクティブMBAプログラムを立ち上げ、マドリッドでMaster in Managementを開始します。変化のペースと学校の文化とのバランスをどのように調整しますか?

フランツ・ホイカンプ(以下H):IESEにはDNA、歴史があります。それを尊重する必要があります。新しい文脈で起きている事象のいくつかを再解釈することが大事です。 2019年はそれ以前の年とは異なります。文脈は異なり、社会は異なり、人々がプログラムに求めているものは多少異なります。しかし、学校が何であるのかというDNAとそれは一致しています。

ジョルディ・カナルス前学長が在職の間に、ミュンヘンでのエグゼクティブMBAの立ち上げは決まっていました。ですから、既にそれは進行中であり、正確な立ち上げタイミングはある種オープンなものでした。確かに、マドリッドでの事業拡大はかなり後退したプロジェクトです。我々は、 2011年に建てた土地を実際に購入しました。

そしてジョルディと私の間でMaster in Managementについて話をしました。私はMaster in Managementを実現すべきか否かについて及び過去の異なるモデルを検討しました。本プログラムのために特別に策定されたプロジェクトが過去になかったという意味でMaster in Managementは新しいです。

B:欧州でのIESEの知名度を踏まえると、IESEはMaster in Managementを提供していると思っていたくらいなので、私は驚きました。

H:IESEのMBAが1964年に始まった折、それは私達が今日Master in Managementと呼ぶものに似ていました。それは長期間のもので、2年間のプログラムだったのですが、当時のプログラム参加者を見てみると、彼らは学部卒業直後で殆ど職務経験を積んでいませんでした。ですから、学部を卒業した直後や職業上の経験が殆どないという意味で、今日のMaster in Managementの役割と似ています。

B:そしてMBAは時間とともに明らかに変化しましたね。

H:はい、そうです、IESEのフルタイムMBAは5-6年の実務経験を持つ平均28-29歳の人々を惹きつけます。欧州にとっては、MBAの現在地ゆえに、Master in Managementが関連性があるようになったと思います。

B:Master in Managementを始めることについて疑念はありましたか。

H:当時、実際にMBAプログラムを拡大することが明確に優先されていました。 2010年の約210人の学生の3つのセクションから今日では350人にまで成長していますが、それに多くの焦点が当てられていました。それは資源とキャンパスの改築を必要としました。そのため、実際に追加のプログラムを検討するための期間も物理的な空間もありませんでした。MBAは今のところ順調です。長年にわたり、Master in ManagementがMBAの学位と平和的に共存できるかどうか、あるいはそれらが卒業生の基盤に何かしら問題を引き起こすかどうかについて、少しずつ明確化が進んできました。IESEに似ている他の学校でMaster in Managementが機能していることに気づき、IESEにおいても実施する決断に至りました。

B:マドリッドキャンパスの拡張はいつ始まりますか?

H:2020年9月です。Master in Managementに参加する最初の学年はまだ古いキャンパスにいます、そして2年目に私たちが2番目の学年を設置する際、拡張されます。

B:マドリッドでの拡張を踏まえて他に何を実施しますか?

H:現在、英語での国際プログラムはマドリードにおいては殆どないので、本プログラムの増加を計画しています。もちろん、バルセロナとミュンヘンでは既にこれを多く実施しています。マドリードにおいては、単純にもっとスペースが必要でした。そして、私たちが実施している様々な内容に対応するために、単純に、一層多くの教員を保有すべきという一般的な課題があります。22人の教授陣は、スペース不足のために、現在、マドリードに引っ越したりそこで雇われたりすることができません。IESEは今後更に25人の教授陣を収容するスペースを持つことになりますが、それは本当に必要なものです。もし、学生、卒業生、パートナー企業、さらに企業研修・エグゼクティブ教育と共に有意義なプロジェクトを実行したい場合は、その周囲に人が不可欠なものになります。

B:25人の新しい教授陣を雇うのにどれくらい時間がかかりますか?

H:正確なところはわかりません。私たちは、現在、毎年5-10人前後雇っています。したがって、マドリッドでの25人の追加には数年かかるでしょう。現在、私たちはすでに115名のフルタイム教授陣を擁しています。

B:IESEのミュンヘンでのエグゼクティブMBAプログラムについてですが、そのためにミュンヘンに教授陣を派遣しますか?

H:はい。このプログラムは週末に1回、場合によっては3週間ごとに実行されるため、学生と教授の両方にとって比較的簡単な形式になっています。飛行時間は2時間ですので、大したことではありません。

B:ヨーロッパのエグゼクティブMBA市場は現在どのようになっていますか?

H:ドイツのビジネススクール市場は特に発展途上です。様々な理由で、歴史を持ち確立されているドイツのビジネススクールはなく、ドイツのビジネスマンの知識も不足しています。しかし、成長しています。現在、ますます多くの教育機関ができつつあり、市場が作られています。 MBAとは何かを知っている人がいます。エグゼクティブMBAを提供する教育機関がいくつかあって、さらに他にも複数の教育機関がいます。今この市場をドイツの国の大きさと比較するならば、大きな市場とは言えません。しかし、多くの可能性があると思います。

B:IESEは既にバルセロナ、マドリード、そしてサンパウロでエグゼクティブMBAプログラムを提供していますね。

H:その通りです。だからエグゼクティブMBAプログラムでは、マドリードのキャンパスで240人、バルセロナで240人、サンパウロで80人、加えミュンヘンの最初のクラスには約40人の生徒がいます。IESEの場合は、他のエグゼクティブMBAプログラムよりも少々若くなっているので、開始時の平均年齢は約32歳です。また、平均年齢37歳、38歳のグローバルエグゼクティブMBAプログラムもあります。このプログラムには6つの必須の、8日または9日のモジュールがあり、2つはバルセロナ、2つはニューヨーク、そして1つはシリコンバレー、もう1つはサンパウロで実施されています。そしてその間に、学生はオンライン学習を行います。我々は文字通り全大陸から学生を迎えています。

B:4つのエグゼクティブMBAプログラムがあるので、ミュンヘンで5番目になりますね。

H:ミュンヘンのものは、現在バルセロナ、マドリード、そしてサンパウロにあるものと同じスタイルになるでしょう、そしてそれらは統合されています。つまり、彼らは、共に、上海、ニューヨークのIESEキャンパス、サンパウロでインターナショナルウィークを過ごすことになります。したがって、通常年間を通じてキャンパス内にいることに加えて、実際には幾度か、複数の海外での授業が同時に起こるよう、日程が調整されています。

B:学長としてのあなたにとって最大の課題は何ですか?

H:寛大な卒業生やパートナー企業がいると言うべきではあるものの、資金調達は大きな課題です。ヨーロッパの基準では、IESEはこの点で合理的な仕事をしていると思います。このプロジェクトは5200万ユーロで、その3分の2、つまり3500万ユーロを調達するという目標を設定しました。現在は折り返し地点を少し過ぎたところです。

B:欧州では、ビジネススクールが多大な寄付を受けることはそれほど一般的なことではありません。

H:その通りです。現在、約3500万ユーロの寄付金があります。成長はしているのですが、それは明らかに、私たちの同等または類似の規模の学校が米国で受けている規模と比較して、明らかに小さいです。

B:学長になって最も驚いたことは何ですか?

H:私にとっての驚きは、学校が卒業生と発展してきた関係の範囲に関係しています。初年度で関係者との200回以上のミーティングをしたのですが、同窓会やスポンサー企業の側で、学校が行っていることにどれほど関心があるのか​​を知り、大変驚きました。

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