在校生の活躍:武田恵実さん(MBA Class of 2027)

 

Poets&QuantsのMeet the MBA Class of 2027にて、同学年の武田恵実さんが紹介されています。原文(英語)はこちらをご覧ください。以下、本人の許諾に基づき、会員限定部分以外も含めた全体日本語版です。

 


出身地

日本・東京、およびカリフォルニア州マウンテンビュー

 


あなた自身についての面白いエピソード

IESEに合格した後、毎週末、ジムでトレーニングをしたその足で、ジムウェア・すっぴん・汗だくのまま2時間ひとりカラオケに通っていました。受験から解放され、それまで後回しにしていた健康や趣味のために思う存分時間を使えるようになり、自分では最高の週末を過ごしていたのですが、ある日、カラオケ店のスタッフが「あの人、かわいそう」と話しているのを耳にしてしまいました。

 


出身大学および専攻

早稲田大学、政治経済学部

 


直近の勤務先および役職

NTT DATA, Inc. Deputy Manager

 


学び、より優れたマネージャーになるための手法として、ケースメソッドのどのような点に魅力を感じますか

ケースメソッドでは、自分自身が意思決定者の立場に立つことになります。IESEのケースでは、明確な正解のない現実のジレンマが提示され、教授が議論を進行するなかで、世界各国から集まった同級生による多様な選択肢や視点に触れることができます。

特に価値を感じているのは、それぞれの見解の背景にある考え方や経験まで知ることができる点です。当初は明白に思えた判断でも、授業で議論を重ねるなかで、別のアプローチを支持する説得力のある理由に触れ、自分の考えが大きく変わることがあります。また、自分が見落としていた一つの小さな事実を誰かが指摘したことで、意思決定の前提そのものが変わったこともありました。さらに、同じ状況を見ていても、個人のリスク許容度によって選ぶべきだと感じる選択肢が異なることにも気づきました。こうした経験を重ねるなかで、一つの答えを探すこと以上に、多様な視点を踏まえたうえで、最後は自分自身で判断し、その決断に責任を持つことの重要性を学びました。

これは、私が現実のマネジメントにおいて大切にしたい姿勢にも通じています。ビジネスでは唯一の「正解」が見つからない場面も多く、だからこそ、異なる視点に耳を傾けながら、自分なりの判断軸を持って決断する力を身につけたいと思っています。私にとってケースメソッドの魅力は、フレームワークを学ぶことだけではなく、その判断力そのものを繰り返し鍛えられることにあります。多様な意見を尊重し、自分自身のリスク許容度も認識したうえで、不確実な状況でも自分の判断に責任を持って決断する。そうしたリーダーとしての思考を磨けることに、ケースメソッドの大きな価値を感じています。

 


これまでのところ、バルセロナで最も気に入っている点は何ですか、また、バルセロナがMBAを取得するうえで優れた場所である理由は何でしょうか

バルセロナはとても暮らしやすい街で、これはビジネススクールを選ぶ際に私が重視したポイントの一つでした。私が大切にしていたのは、天候、食事、街の清潔さ、そして治安です。晴れているかどうかは日々の気分にも大きく影響しますし、食文化の豊かな街で育った私にとって、おいしい食事が楽しめることも譲れない条件でした。バルセロナには、手頃な価格で楽しめる素晴らしいレストランが街中にあり、スペイン料理やタパスはもちろん、世界各国の料理を気軽に味わうことができます。実は私自身、クラスの「Foodie Group」にも参加していて、友人たちと新しいお店を開拓するのも楽しみの一つです。また、街並みが美しく整備され、清潔に保たれている点も気に入っています。残念ながらスリが多いことで知られる街ではありますが、それ以外の面では、夜に歩いていても比較的安心して過ごせると感じています。

自分が心から好きだと思える街で暮らせることは、密度の濃いMBA生活をより充実したものにしてくれています。日々の生活そのものを楽しめているからこそ、授業にも前向きな気持ちで臨むことができ、クラスメートとも自然と深い関係を築きやすくなっていると感じます。

 


同級生や立地以外で、IESEのMBAプログラムを選ぶ決め手となった最も重要な要素は何でしたか、また、それがあなたにとって重要だったのはなぜですか

IESEならではの特徴の一つが、「ラーニングチーム」の仕組みです。入学初日から、国籍やバックグラウンドの異なる9人でチームを組み、1年目を通して同じメンバーとグループワークに取り組みます。毎朝、授業が始まる前にチームで集まってその日のケースについて議論するため、自分一人では気づかなかった視点に触れながら理解を深め、授業でのディスカッションに臨むことができます。

ラーニングチームでの活動は、入学直後の集中的なコミュニケーション・ワークショップから始まります。異なる文化やコミュニケーションスタイルを持つ相手と、どのようにすればうまく一緒に取り組めるのかを学ぶとともに、スピーチなどのアクティビティを通して、お互いのことを知っていきます。その後も一年を通して定期的にチームビルディングの機会があり、お互いにフィードバックを伝えながら、どうすればチームとしてよりうまく力を合わせられるかを話し合います。

私がこの仕組みに魅力を感じたのは、実際のビジネスの世界にとても近いと感じたからです。仕事では、一緒に働く相手を自分で選べるとは限りません。異なる価値観や考え方を持つ人たちと信頼関係を築き、違いを越えてコミュニケーションを取り、多様な視点をチームの力に変えていく。そうした力は、仕事で成果を出すうえで欠かせないものだと考えています。

そして、私がIESEに特に惹かれたのは、この仕組みを通じて、まったく異なるバックグラウンドを持つ人たちと時間をかけて向き合い、関係を築いていく機会があることです。社会人になった今、これほど多くの時間を同じメンバーと過ごし、お互いを理解しようと向き合う機会はなかなかありません。もちろん、異なる9人が一つのチームとしてうまくやっていくことは、いつも簡単なわけではありません。相手を理解しようとする忍耐も、ときには自分の弱さを見せる勇気も必要です。でも、簡単ではないからこそ、そこから得られる学びには大きな価値があると感じています。

 


IESEのMBAは、膨大なリーディングと厳しい学業で知られています。実際に、その評判どおりでしたか、また、プログラム開始後の数カ月をうまく乗り切るために、1年目の学生へどのような助言をしますか

はい、その通りでした。ケースを読む量が多いうえに、学生イベントなどもあり、目が回るほど忙しいです!

私からのアドバイスは、「睡眠を削らないこと」と「ケースはきちんと自分で読むこと」です。自分で読まずにAIの要約だけに頼ることはおすすめしません。確かに読む量は多く、正直なところ、すべてを読み切れない日もあります。ただ、ケースにはあえて多くの情報が盛り込まれていて、その中から意思決定に必要な情報を自分で見極めること自体が、ケースメソッドの重要な部分だと感じています。AIの要約では、私自身が重要だと思う情報が抜け落ちていることも多く、実際の授業では、そうした細かな点まで議論が掘り下げられることがほとんどです。また、単にケースの内容を理解するだけでなく、なぜその情報が重要だと考えたのかを、自分自身の経験と結びつけて発言することで、議論がさらに深まることもあります。だからこそ、授業のディスカッションにしっかり参加するためにも、やはり自分でケースを読んでおくことが大切です。

そして、もう一つ強く伝えたいのが、しっかり睡眠をとることです。入学最初の週に行われた「Communications Week」では、毎日2つのスピーチを暗記し、いつ指名されても発表できるように準備する必要がありました。最初の頃は自信がなく、「100%暗記しなければ」と夜中の2時、3時まで準備を続けていました。しかし、そこまで準備したにもかかわらず、本番では思うような発表ができませんでした。

一方で、完璧に覚えることを諦めて、思い切ってしっかり眠った日は、頭がすっきりして、それまでよりもずっと良い発表ができました。その結果、グループの代表に選ばれ、70人のクラスメート全員の前でスピーチをすることになりました。この経験から、あと1時間準備を続けるよりも、しっかり休むことの方が大切なときもあると学びました。

 


これまでIESEで最も楽しんだ授業、またはクラブ活動は何ですか

特に印象に残っているのは、「Communications Week」です。2週間にわたって集中的にパブリックスピーキングを学ぶプログラムで、MBAの全48チームにそれぞれプロのスピーチコーチがつき、一人ひとりに合わせたフィードバックや指導を受けることができます。これまでの仕事でも、部長陣によるキックオフなどを通じて、リーダーにとって「伝える力」がいかに重要かを何度も実感してきました。そのため、将来リーダーとしてチームを率いていくうえで、パブリックスピーキングの力を高めることは自分にとって重要だと考え、このプログラムに臨みました。

この2週間で特に大きな学びとなったのは、準備をしすぎることで、かえってスピーチの良さが失われてしまうことがあるということです。完璧に話すこと以上に、自分らしい言葉で伝え、聞き手とのつながりをつくることの方が大切な場合があります。また、「完璧に準備できていない状態」を必要以上に恐れず、その場で自分自身を信じて話すことも学びました。

そして何より、コーチが心理的安全性の高い環境をつくってくれたことで、失敗を恐れずに挑戦し、自分自身の経験についても率直に話すことができました。スピーチを通して、それまで知らなかったチームメンバーの経験や考えに触れることも多く、お互いをより深く知るきっかけにもなりました。スピーチのスキルだけでなく、チームとしての距離も縮まった、とても貴重な2週間でした。

 


これまでのキャリアにおける最大の成果について教えてください

これまでのキャリアで特に印象に残っているのは、NTT DATAの海外M&A案件に本社側の担当者として携わったことです。海外の現地チームや社内のさまざまな関係者と連携し、それぞれが意思決定に必要な情報をそろえながら、案件を前に進める役割を担いました。異なるタイムゾーンや文化、立場の人たちと調整しながら、一つの目標に向けて進めていく経験は、自分にとって大きな挑戦でした。

この経験が特に意味のあるものだったのは、グローバルな環境で働き、日本と世界をつなぐ仕事がしたいという、昔からの思いを実現できたからです。また、重要な意思決定がどのような情報や視点をもとに行われるのかを間近で学ぶことができ、企業がグローバルに成長していくことへの理解も深まりました。この経験を通じて、日本と海外をつなぐ仕事にこれからも携わっていきたいという思いが、さらに強くなりました。

 


MBA生活の中で、これまでに最も大きな成果だと感じていることは何ですか

これまでのMBA生活で最も大きな成果の一つは、NTT DATA BarcelonaとIESEをつなぐケースコンペティションを企画・実現したことです。学生が実際のビジネス課題に取り組み、NTT DATAの社員から直接フィードバックを受ける機会をつくりたいと考え、NTT DATA BarcelonaやIESEの仲間と協力しながら、企画を一から形にしていきました。

コンペティションでは5チームがファイナルに進み、NTT DATA Barcelonaのオフィスでプレゼンテーションを行いました。優勝者には有給のサマーインターンシップの機会も用意され、学生にとって、授業で学んでいることを実際のビジネス課題に生かし、企業と直接つながる機会をつくることができました。

私はNTT DATA Inc.(日本)からの企業派遣生として、IESEの仲間にNTT DATAや日本をより身近に感じてもらうこと、そしてNTT DATAの中でもIESEをより多くの人に知ってもらうことを、自分なりの役割の一つだと考えています。このケースコンペティションを通じて、その両方につながる一歩をつくれたことを嬉しく思っています。

また、自分にとって予想以上に大きかったのは、この企画を実現していく過程を周囲の仲間が見てくれていたことです。自分からアイデアを提案し、多くの人を巻き込みながら最後まで形にした経験を周囲の仲間が評価してくれていました。その後、クラブの役員を一緒にやらないかと声をかけてもらったり、自分から新しい役割に立候補した際にも、それまでの実績を評価してもらったりする機会がありました。一つの企画を成功させたことだけでなく、日々の行動の積み重ねが周囲からの信頼につながり、そこからまた新しい挑戦の機会が生まれたことも、MBA生活の中で得られた大きな成果だと感じています。

 


これまでのMBA生活で最も印象に残っている思い出は何ですか

一番の思い出は、Women in Business Conferenceの運営に携わったことです。実はその1年前、IESEへの進学を検討していた私は参加者としてこのカンファレンスを訪れていました。そこで大きな刺激を受けたことは、IESEへの受験を決めるうえでも、その後の受験に向けても大きな後押しになりました。だからこそ、入学後は今度は自分がその魅力を届ける側になりたいと思い、カンファレンスの運営メンバーに立候補しました。複数の候補者の中から1年生のディレクターとして選んでもらい、わずか1年前には参加者として見ていたカンファレンスを、今度は自分たちの手でつくる側になれたことは、とても感慨深い経験でした。

カンファレンスではロジスティクスチームに加わり、8カ月にわたって準備を進めてきた2年生のメンバーとともに、最後の3カ月間、開催に向けて準備を進めました。その中で学んだのは、大規模なイベントでは、計画通りに進めることだけが大切なのではないということです。予想外のことが起きたときにその場で対応したり、他のチームと助け合ったりしながら、一つひとつの課題を乗り越えていくことの大切さを実感しました。そして迎えた当日は、会場全体がこれまでに経験したことのないような熱気に包まれていました。

当日はほとんどの時間をクロークで過ごしました。クロークは荷物を預かるだけでなく、運営チームの拠点のような役割も果たしていたため、メンバーが一日を通して何度も立ち寄り、何かあればその場にいる人たちで助け合って対応していました。一見すると華やかな場所ではないかもしれませんが、振り返ってみると、私にとって一番心に残っているのは、まさにそこで過ごした時間です。少し余裕ができると、みんなで懐メロを流し、誰もいないときには踊ったり、慌ただしい一日の合間に一緒に笑ったりしました。

カンファレンスを無事に成功させられたことはもちろん大きな達成感がありましたが、それ以上に心に残っているのは、チームのみんなで力を合わせながら、忙しさも含めて一緒に楽しんだ時間です。カンファレンス後には1年生と2年生の運営メンバーで打ち上げをし、準備期間中にはなかなかできなかった話をしながら、学年を越えてさらに距離が縮まりました。2年生からこれからのMBA生活についていろいろな話を聞いたり、たわいもない話で盛り上がったりした時間も含めて、カンファレンスを通じて得られた経験は、これから先もきっと忘れないと思います。