本稿は、IESE MBAアドミッションの西田が執筆しており、IESE MBAと日本人学生というカテゴリーにおける連載の一環です。
IESE MBAには、例年10-15名程度の日本人学生が入学しており、この数は全体の規模からしても決して小さいものではありません。本稿は、そのように日本人がなぜ求められているかを就職面から読み解く記事です。
先日、バルセロナでMBAアドミッションチームのリトリート(集合会議)が開催された際に、CDC(キャリア・ディベロップメント・センター)から、就職実績を国籍別に見て3グループ(容易/中立/困難)に分けた際の分析結果を確認する機会がありました。
日本は、メキシコや南米諸国などとともに「容易」のカテゴリーに含まれていました。
この背景の一部には、日本人の一定数(目安30-50%)が卒業後の就労が確約された社費生であることも含まれているでしょう。
他方、実際に日本人が卒業後のフルタイム就職を決めるタイミングという観点において他国比で早いのも自明となっている事実です。
日本人全員が日本で就職する/したいわけではありませんが、学校に関係なく、日本での就職となると数カ月程度インターン/フルタイムとも採用のタイミングが早くなり、それがこうした結果に結びつきます。
就職実績の一部として開示され、ランキングの一部にも反映されることが一般的な、卒業後数か月以内に何%の卒業生が就職を確定させているかというデータに学校は通常それなりに目を光らせています(なお、往々にして誤解されている印象がありますが、通常、社費生はそもそも分母/計算から除外されていることが一般的なはずです)。
本稿執筆時点(2026年6月2日)で、私が認識している限りにおいて、社費生を除くMBA Class of 2026に所属する日本人学生のフルタイム就職状況は以下の通りです。
- 海外: 2名(*)
- 日本: MBB(**)某社(1名)、MBB某社(1名)、プライベートエクイティ(1名)、サーチファンド(3名)
*これらは、日系企業の現地支社などではありません。加え、3名が海外就職の機会を模索しています。最終的な着地は、「海外: 3-4名」と予想しています。
***MBBは、McKinsey & Company, Boston Consulting Group, Bain & Companyを集合的に呼称するものです。
つまり、11名の私費生のうち8名が既にフルタイム就職を確定させているということを示唆しており、上で記した内容がデータ上も証明されています。
また、CDCにとっては、学生のパフォーマンス自体のみならず、MBA採用企業の採用意欲も日本を推す材料となっています。
例えば、日本における合格後出国前の海外MBA壮行会の数がそれを示す好例です。
2026年6月2日時点で、今年はのべ25件の壮行会が確認されています。
壮行会は、海外MBA採用企業が合格者出国前に採用意欲のシグナリング、個人情報収集などいくつかの狙いに基づいて開催しております。
このような恵まれた環境は他になく、他国では多くても5件/年でしょう。
私もCDCに小さな所掌があり、こういった情報を一部対策と合わせて合格者に共有するとともに、壮行会開催企業のうちのある程度と対話する機会を近いタイミングで設けるようにしています。
このように言語障壁が高いこの国のキャリア支援市場にある程度入り込んでいける人材を内部に抱えていることも、CDC目線では多少安心材料とみなされている(「容易」な市場と考えられ得る背景となっている)印象です。
いずれにせよ、IESEにて日本人学生が就職面で好意的に見られる背景には、こうした他国にない優位性が大きく関係しています。

