IESEの入学審査が効率的ではないが効果的である理由

完璧なMBAを見つけるには、自分の価値観や野心に合ったビジネススクールを見つけることが大切です。ビジネススクールがどのようにして自分に合った候補者を見つけているのか、IESE MBA入学審査官(アジア・中東統括)の西田朋史さんがMBATUBEに取材を受けました。

原文(英語)及び一層の詳細が語られている動画は、こちらをご覧ください。


IESEの入学審査では、どのように 「適性」を見つけることに重点を置いているのか

西田さんは、2016年にIESEを卒業してこんなにすぐにそこに戻ってくるとは思っていませんでした。彼は当初、キャリアの方向性を変えるためにMBAを志し、財務からより自分に合った職掌に移ろうと考えていました。頭の中には、既に人事や教育が答えとして浮かんでいました。IESEに戻る機会が訪れた時、それを断ることができませんでした。IESEの入学手続きを自ら体感していた彼は、IESEが自分にぴったりだと感じていました。

現在、IESE MBAの入学審査官(アジア・中東統括)を務める彼は、国際的な学校で国際的な刺激を恩恵として多く受けながらも、母国の日本で仕事をすることができます。IESEの入学審査委員会でIESEの卒業生と一緒に仕事ができることは、帰国する上で大きな魅力だったと言います。

「この入学審査委員会の全員がIESEビジネススクールの卒業生なので、私は彼らを簡単に尊敬することができましたし、中には私のクラスメートもいました。卒業後もこのような尊敬できる優秀な人たちに囲まれていたいと思いました」と彼は語りました。(02:42)

自分の学校の入学手続きが効率的ではないと言うのは、ちょっとした驚きです。しかし、それには理由があります。一人ひとりの応募者を評価するのに時間をかけることで、IESEのDNAに合う候補者を見つけることができるのだと言います。

「面白いことに、私たちの入学手続きはあまり効率的ではないけれど効果的だよね、という話を組織内でよくしています」と彼は言います。「それは、応募者を知るために多くの時間を費やす傾向があるからです。書類以外のあなたを知るために多くの時間を費やすのです。つまり、面接を重視しているのです。これは受験生にとっても、当校がどのような学校であるかを知るため、あるいは受験生がIESEに適しているかどうかを確認するために有益です。」 (03:25)

 


アセスメントデイとは何か

受験生を知るためのプロセスの一環として、一部のIESE出願者はアセスメントデイに招待されます。これは、受験生がIESEの文化を感じるだけでなく、学校が受験生を少しでも理解するためのチャンスです。効率的ではないかもしれませんが、IESEに適した候補者を見つけるための効果的な方法です。

「アセスメントデイは、面接の後に行われる可能性がありますが、チームディスカッション、チームプレゼンテーション、受験生のみを対象とした授業への参加などが含まれます。全員がこのプロセスに招待されるわけではありませんし、招待されたからといって有利になったり不利になったりするわけではありません。ただ、より良い判断をするために、入学審査委員会でもう少し情報が必要だということです」と西田さんは説明します。(03:59)

アセスメントデイにおいては、IESEのケースメソッドを実際に目の当たりにすることができます。ケースメソッドとは、ハーバード・ビジネス・スクールで開発されたもので、長年にわたって実際に起こったビジネスケースを分析するものです。IESEのMBAクラスの約80%がケースメソッドを採用しているので、自分に合ったスタイルかどうかを確認するには最適な方法です。

「ケースメソッドと呼ばれるIESEで基盤となる教授法では、チームでのディスカッションや授業への参加を重視しているため、このようなステップを設けています」と西田さんは説明します。「アセスメントデイは、IESEとの相性をチェックする絶好の機会になるかもしれません。例えば、ケースメソッドをベースにした授業に全く馴染めないと感じたら、IESEに来るべきではないと思いますよ!」 (04:10)

 


MBA取得後の三段跳び(トリプルジャンプ)について

IESEには、世界中から学生が集まってきます。卒業後も同じように多くの場所に散らばっていきます。IESE MBA Class of 2020の卒業生は、5つの異なる大陸で見つけることができます。46%はヨーロッパに留まり、残りはラテンアメリカ、アジア、中東、アフリカ、アメリカに分散しています。

これは理にかなっています。多くの人にとって、MBAは新しい国でキャリアをスタートさせるチャンスとなります。しかし、それだけではなく、職掌を変更したり、新しい業界に参入したりする際に必要な支援を受けることもできます。IESEの場合、MBA卒業生の大半は、コンサルティング(33%)、金融(22%)、テクノロジー(17%)の分野で活躍しています。

MBAを利用して、国を変え、業界も変え、職掌も変えるという、いわゆるトリプルジャンプをしようと決める人もいます。これは非常に困難なことですが、世界的な経済不況の中では特にそうです。西田さんは、新型コロナウィルスの大流行にもかかわらず、IESE MBA Class of 2020の卒業生の多くがトリプルジャンプをしたと言います。

「トリプルジャンプとは、国、業界、職掌を同時に変えることであり、全く簡単ではありません。しかし、この学年は素晴らしい仕事をしました。トリプルジャンパーはMBA Class of 2020の1/3を占めていますが、このクラスは新型コロナウィルスの影響をマイナスの意味で強く受けていたので、特筆すべき結果でしょう」と明かしています。(08:35)


出願前にビジネススクールを知るにはどうしたらいいでしょうか?

受験生を知ることを非常に重視している学校にとって、(バーチャル)オープンデイがその延長線上にあることは驚くことではありません。西田さんはIESEのオープンデイの構成要素を説明します。

「バーチャルオープンデイでは、3つの要素があります。1つ目はMBAの概要説明、2つ目はケースメソッドに基づいた実際のMBAの授業、3つ目は卒業生によるパネルディスカッションです。特に2つ目のパートは、志願者にとってIESEとの相性やケースメソッドに馴染めるかどうかをチェックする機会になっています」と西田さんは言います。(10:22)

また、学校に直接連絡を取ることも勧めています。これは、学校を知るためのもう1つの機会であり、学校があなたを知るための機会でもあります。IESEの入学手続きは、まさにそのためにあるのです。

「それ以外にも、私たちに自由に連絡を取って頂ければ、IESE関連の適切な人を紹介することができます。このような個人的な交流を通じて、IESE全体への理解を深めて頂くことができます」と付け加えます。(10:48)

ビジネススクールへの理解を深めることは、適切なMBAを選択するために不可欠です。そのため、IESEのような学校では、彼らと交流し、彼らがどのように働いているかを理解する機会を多く与えてくれます。これは、学校が自分に合っているかどうかを知るのに役立つだけでなく、自分が学校に合っているかどうかを知るのにも役立ちます。この2つの条件を満たす学校があれば、それはあなたのための学校かもしれません。