Admissions Committeeが真に求めるもの(後編)

 

Menlo CoachingのDavid White(以下D)がAdmissions DirectorのPascal Michels(以下P)に、Admissions Committeeが真に求めるもの及びどのようにしてAdmissions Committeeに好印象を与えられるのかについて取材しました。本記事は後編です。原文(英語)はこちらをご覧ください。前編はこちらをご覧ください。

 

D:キャリアについてはどう思いますか。最前線で現場を観察してきている身としては、MBAは絶対にどんなキャリアでも叶えることができる一種の「魔法のチケット」であると夢見るアプリカントを時々見かけます。キャリアリスクという点について、どう考えますか。

P:キャリアリスクの一部は、期待が現実と一致していないというリスクです。そしてそういった一部の不合理な期待は、ビジネススクールの入学審査官が全体として数十年にわたってどのように自らを描写してきたかと大いに関係があると思います。この状況は、今この瞬間だけ起こっている事象ではありません。各術語はある程度拡大解釈されており、各学校のバリュープロポジションについてアプリカントが確認できる中身と、労働市場が実際にどのように機能するか、という点の間には、確かな情報の対称性があります。アプリカントのこれらの期待値を管理するのは入学審査チームの責任だと私は信じています。

私たちがアプリカントに極めて定期的に話すこと、つまり公の場で話すこと、あるいは書くことさえも何ら厭わないのは、MBAに入学したら即座にコモディティ化が生じるということです。

各学生は突然の何百人ものMBA生の内の一人と化します。そして、MBA採用企業は、MBA入学前の彼らの経験次第で学生をランク付けしていきます。実に無慈悲です。ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティのような「セクシーな」仕事に合うプロフィールは限られます。この2つは、特定のキャリアバックグラウンドの学生を採用する業界の非常に典型的な例です。

それに対して、コンサルティングファームは、あらゆる種類のMBA前のバックグラウンドに対して一層開けていますが、代わりに地理的条件が非常に重要になります。つまり、各ローカル市場で人材を採用する傾向にあります。ですから、もしあなたがドイツ人なら、あなたはドイツの事務所などに申し込まなければなりません。入学審査過程における会話の内容次第では、学生はこの現実を入学して初めて思い知ることになります。

学校側の立場から申し上げると、私はMBAアプリカントは、たとえこのようなメッセージを突きつけられたとしても、それを直視したがらないとも言えます。様々な観点から入学審査官とアプリカントとの会話に組み込まれている警告サインをアプリカントが見落とすことは、ままあります。アプリカントは、MBAの世界に飛び込む準備をしている際、自らに都合の良い要素だけを聞き入れる傾向があります。労働市場がどのように機能するかを理解することは、学生としてのMBAの旅の一部です。入学審査官も、個々のアプリカントに対してそのための意識付けをしていく必要があると思います。

D:そうですね、実に現実的だと思います。トップクラスのビジネススクールに入学した矢先に、態度が 「私はちょうどあなたに150,000ドルの授業料を支払いましたよ、 卒業後の仕事はどこに用意されていますか? 仕事を提供してくださいね。」といったようなものに豹変する学生もいることでしょう。

彼らは仕事を掴むために、実際に自分自身で多くのことをしなければならないことに気づきません。 面接の準備をして、採用会社と連絡を取り合う。これらを時には自分で全部やらなければならないし、キャリアサービスも「皿に乗った仕事」を提供するだけではなく、同じく多くのことをする必要があります。  学校が学生に対しそのような準備をさせることは、一種のパートナーシップであり、学生が良い結果を得たいならば彼ら自身も最善を尽くしなければなりませんよね。

P:もちろんそうですね。コモディティ化のプロセスの過程で、多くのMBAの学生がこのことに驚くことになりますね。トップスクールに入学したときに最初に起こることは、周りの学生全員が特別なので、自分がもはや特別ではなくなるということです。多くの学生にとって冷たいシャワーのようなものです。これは毎年起こり、あらゆる種類のプロフィールの学生に起こるものでもあるので、たとえ学生のMBA以前のキャリアが光り輝くものであっても、学生はこの現実から逃げ切れるわけではありません。

多くの方が「ああ、それはクラスの他の人間には当てはまるかもしれないが、自分には当てはまらないな」と内心考えていると、私は思います。今私がやり取りしている学生は、入学審査段階でこの点について警告した非常に強いプロフィールの持ち主ですが、学生になった後も、コーチングや支援を必要とする労働市場の力学にとまどい、私に会いに来ています。

もう少し前向きなコメントをさせて頂くと、私が個人的にトップビジネススクールについて素晴らしいと思うのは、キャリアディベロップメントセンターや他の然るべき人間に相談する人は既にその時点で正しい行動をしており、結局全ての物語が前向きな結果をもたらすということが一般的だということです。

彼らは助けを求める学生です、彼らは己に何が起こっているのかについてただ不平を言う代わりに逆境によって活性化される学生です。私は彼らと会話を始めるたびに、彼らはうまくいくと確信しています。既に行動に移しているからです。問題は、コーヒーの匂いに目覚めない学生、それがどれほど複雑であるかに気付いたときにショック状態にすら陥らない学生です。

D:入学時にどのくらいの職歴があるかという、先に話した論点とも関連しますね。時に私はあなたはまだ早いと助言することがあります。なぜなら、採用会社の目線が、 「私はMBA生のどなたにでも同じ報酬をお出しするつもりです。だから私は3年間の職歴の方ではなく5年間の職歴の方を選びたいです。 同じ費用なら、一層の豊富な経験を期待しますから。」といったものであるからです。

P:その通りです。アプリカントにとってこれは重要です。MBA採用会社の立場に身を置いて考えてみると、MBAの採用は非常に困難なことに気づきます。困難でコスト高です。採用数は少量であり、個々人に応じた濃度の濃いコンタクトが必要になります。規模の経済の観点からは、達成できることはごくわずかです。

ですので、潜在的な採用会社として、給料の面でもキャンパスにおいて儀礼的に割く時間の面でもプレミアムを支払うのに十分な経験のある学生と、会社の文化に慣れる可能性が高い若い学生の間で折り合いをつける必要があります。

そのため、平均して5年間の職業経験がある学生が集まる中で、2年間の職業経験しかない学生が他の学生と競合しようとすると、比較的短期間でふるい落とされます。採用会社は、彼らをMaster in Managementや特化型の修士プログラムの学生と同じとみなし、プレミアムを払いたがりません。

一方、8年、9年、10年、11年の実務経験を持つ人々は、逆の問題に遭遇することがあります。それは、採用会社が経験過多とみなし、会社の文化に慣れてもらうのがより難しくなると考えるからです。

ですから、スイートスポットはMBAプログラムの職歴の平均値、つまりMBA前4-6年の実務経験のあたりにある傾向があります。

D:それは理にかなっていますね。 少し前のご発言に立ち返ると、Employment Reportの中身は素晴らしいものですね。 ベイン、マッキンゼー、BCG、アマゾンがあなたのトップリクルーターの中心となっていますし、それは各々の学生にとっても非常に良いことのはずです。

D:ある意味、あなたのメッセージは、学生にとって非常に前向きなものです。すなわち、「プログラムから大成功を収めたときにだけあなたを認めたい。是非良い仕事に就く準備をしてほしい。卒業生ネットワークの素晴らしいスターになるように長期的に成功する準備ができていることを期待したい。そして自ら正しいプログラムを選んだのだからプログラムを楽しんでください、あなたは安直にランキングに基づいて間違ったプログラムを選んだわけではないのだから。」というものですね。

メッセージが最終的に肯定的であって、成功してほしいと思う学生をとても気にかけているということを踏まえると、学生がMBAの準備をするために何をすべきかについてそのような実践的な形で話してくれる唯一の人があなたでした。これらの話題を含むマーケティングメッセージをビジネススクールが出すのが一般的ではないのはなぜなのでしょうか。

P:あなたのまとめに感謝していますよ。実際、これこそが朝起きた時に私が仕事に持ち込もうとしている精神です。入学審査担当となる前にキャリアサービスとして金融業界を4年間担当していたので、私は非常に偏っているとはアプリカントにも話します。入学審査の過程の会話がキャリアサービスのそれと根本的に異なる方法でなされているわけではありません。キャリアサービスの専門家としても、非常に熱心な学生を選びますよ。

MBA入学後、様々なことが一気に走り出します。キャンパス内での採用活動、大手投資銀行、大手戦略コンサルティング会社との接触、夏のインターンシップ・・・個別に凄まじいコミュニケーションが発生します。キャリアサービスの専門家として、最初の幸福感を学生と堪能し、コーチングという形で共に時間を過ごして、時に不採用を告げられて、フルタイム採用に向けて準備して、殆どの場合、学生は幸せな結果を手にすることになります。

しかし、これを4年間実施したことで、もし入学前にこの現実を確認する会話の一部がなされていたなら、キャリアサービスと学生自身の仕事がどれほど簡単になるかも十分に理解しました。そしてこれこそが入学審査官として私が実行していることだと思いますが、そういった意味で私は本当にキャリアサービスの偏見に囚われています。他の学校が入学審査チームをどのように構築しているのかを完全には把握していませんが、キャリアサービスと入学審査の連携は標準的なものではありません。