卒業生の活躍: 鎌倉純一さん(MBA Class of 2020、社費生としての変容)

 

IESE MBA Class of 2020の鎌倉純一さんに、当時の社費生として感じるIESE MBAの価値や関連する思い出について伺いました。

 


自己紹介

情報工学系の大学院卒業後、日立製作所に入社しソフトウェアエンジニアからキャリアをスタート、海外経験の無い典型的な理系純ドメタイプの人間でした。その後、インドエンジニアとの共同開発、3年の米国赴任、MBA留学、留学からの帰国後のプロジェクトマネージャーを経て、2022年から2回目の米国赴任でHitachi Digital / GlobalLogicにて事業企画の仕事をしています。

私生活では、結婚して10年になります。妻は、私の2018-2020の留学中に当時の仕事を休職して私と一緒にバルセロナに住み、USCPAを取得しました。日本に戻ってからはBig Techの日本支社で働いた後、今回の2022年の私の米国転勤に伴い転職し、現在は米国で働いています。

 


なぜMBA、なぜIESE

2015-2016年に参加したJMECという社外コンサルプロジェクトにて、自分の能力が圧倒的に不足している事に危機感を覚えた事が理由です。当時、日立は成長への投資に1兆円使うという事を宣言していましたが、当時の自分のスキルではできる事は何も無いと感じていました。ビジネス面とグローバル面双方で鍛えなおす必要があると強く感じたので、MBA取得に動きだしました。

その中でIESEを選択した理由は、大きく三つあります。一つ目がケース中心のハードなカリキュラムが自分の上記課題を成長させる上で良く合っていると感じた点。二つ目はこの時点で米国に3年赴任経験があったので、別の地域で経験した方が良いと感じていたこと、特にIESEのような留学生が大半の多様性に富んだ環境に魅力を感じていました。三つ目は、家族が帯同するにあたって生活環境が良いことが条件にあったため、気候が良く、人がフレンドリーで優しく、食べ物が安くて美味しい等の条件がそろったバルセロナという土地の魅力は大きかったです。

 


MBAによる変容

卒業からもうすぐ3年経ちますが、MBA留学していない人生は考えられないくらいには大きく自分を変える経験になりました。ソフトスキル、ハードスキル双方で大きな成長があったのですが、それよりも自分の中にあったバイアスを変えてくれたのが一番大きかったように思います。その一つが成長に対するバイアスで、私自身が35歳過ぎた後にMBA準備・留学をし、その後大きく変わった仕事にも学習しつつ対応できた事で、何歳になっても学び続けて成長できるという当たり前の事に気づけたことは非常に大きかったです。

 

 


印象深かった授業

どうしても一つに絞る事ができませんでした。前提として、IESEの授業はどれも質が高く非常に面白いのですが、特に自分の人生に大きく影響を与えたと思ったものは一つは海外モジュール、もう一つは夏の起業体験プログラムだと思っています。

海外モジュールについては、私はナイロビモジュール、ブラジルモジュールの二つに行きました。どちらも自分の行動範囲を大きく変えるきっかけとなり、どこでも貢献できる事があるという自信につながりました。

また、夏の起業体験プログラムでは、バルセロナにあるお店と交渉して自分たちの商品を置いてもらったり、クラウドファンディングに商品を出した経験を通じて、自分が今まで考えてもいなかった選択肢を取る際に無意識にブレーキをかける癖があったのを取り除く事ができたように思います。

 


誇ることのできるIESEへの貢献

こちらも、一つにしぼりきれませんでした。一つはクラスの授業での貢献、もう一つはJapan Business Clubのプレジデントとしての貢献を挙げさせてください。クラスの授業では、クラスメートから言われるまで気づいていませんでしたが、私はクラスで最も年齢が上で経験をしている分、授業の発言で異なった視点で非常に説得力のある意見を提供できていたという事を何度か言われました。こういった経験に裏打ちされた発言を通じてクラスへ役に立てているという事が分かった時に、大きな自信になりました。

もう一つのJapan Business Clubですが、当時2学年で30人を超える日本人コミュニティをプレジデントとしてまとめつつ、IESEに価値を提供するという責務を持たせていただきました。こちらでは、自分よりも優秀な人たちをまとめるという事を通じて、自分が持っている「リーダーは一番優秀でなければならない」というバイアスを壊し、助けを求めながらまとめる事も良いんだと自信になりました。

 


IESEでの経験が現職で活きていると感じる瞬間

Hitachi Digitalの仕事で日常的に行われるのが課題発見と解決に関わる仕事で、かつ関わる人が世界各国の異なる文化圏の方々であるため、IESEのようなケーススタディ中心で現実世界の課題に対して解決策を考え議論する授業形態と、学校で学んだダイバーシティの中でプロジェクトを進めるという経験は生き続けています。卒業直後のプロジェクトマネージャー経験、その後GlobalLogic Japanという組織の立ち上げに関わった事、そして今のHitachi Digital全てで学校での経験が生きており、IESEで学べて良かったと思っています。

 


IESEが社費生にとってお勧めできる点

前述してきたことと重なる部分が多いですが、IESEのケース中心で考え抜く癖を付けられたこと、授業で発言をしないと成績に影響するため強制的にでも発言する癖がついた点は、その後、海外拠点にて一人で考えて行動し、多様性に富んだメンバーに対して価値ある発言をすることを通じてプロジェクトを進めるという局面で非常に役に立っています。そのような場面に卒業後に遅かれ早かれ直面するであろう社費生に強くお勧めできます。

 

 


受験生に対しての助言

社会人経験を経た学生生活というものがこんなにも貴重で楽しく、学びが多く、その後のキャリアでも活きるのか、という事を強調させていただきます。受験は長く大変だと思いますが、最後まであきらめず頑張ってください。